クロとシロと、時々ギン

それって、まさかお見合い!?(4)

 親同士で困った末に――、いっそのこと子供たちをくっつけてしまおうという全くありがたくもない、むしろ大迷惑な案を思いついたようだ。

 どうして私がそんな傍迷惑な提案に付き合わなくてはならないのか。

 心底納得はいかないが、母曰く「いい年齢の二人が揃っているのだからちょうど良い」とのことらしい。
 それに、と母が続ける。知人の息子は母情報によると、なかなかの優良物件だという。
 真面目な性格だが堅物すぎず、容姿端麗で高身長。しかも大手企業に就職していて収入も良いらしい。
 確かに好条件だ。

 でも――と私は思う。そんな優良物件が私なんかを選ぶはずがない。
 そもそも優良物件なら、親が心配しなくても既に売約済みだろう。
 そう言うと、母はにっこり笑って言った。

「それは大丈夫。向こうにもお相手がいないことは確認済みよ。ねぇ? 一度会ってみたら?」

 母の言葉に、私は絶句した。
 何だそれは。つまり、この話はお見合いということか。
 母は、私とその息子とやらがお似合いだと本気で思っているのだろうか。それとも、ただ単に面白がっているだけなのだろうか。

 どちらにしても、この話はお断りだ。
 結婚相手くらい自分で見つけたい。
 だいたい、もし仮にその人と結婚したとしたら、今後もこんなふうに母親たちに振り回されることになるのだろう。そんなのは御免だ。
 私はきっぱりと断った。

「私、お見合いとか興味ないから」

 私ははっきりと意思を伝えるべく、母を睨むように見た。
 すると母は呆れたように息を吐き、苦笑いを浮かべた。

「お見合いなんて、そんな堅苦しいものじゃないのよ。少し会ってお茶でも飲んでくればいいのよ。ね?」

 宥めるように言う母。
 しかし、私の意志は全く揺らがない。断固として拒否の姿勢を貫いた。
 しばらく沈黙が流れる。
 やがて母が諦めたように小さくため息をついた。

「まぁ、気が向いたら連絡してちょうだい」

 私の気が向くことはない。母の言葉を完全に無視した。
 母はもう一度大きくため息をつき、それから洗い物をするために離れていった。

 私は手に持ったままだった招待状を忌々しげに見る。
 こんなものが届いたから、母は焦ったのだろうか。

 まぁ、本来は年頃と言われる私自身が焦るべきなのかもしれないが。
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