クロとシロと、時々ギン

砂浜の結婚式(11)

 まず、挙式の満足度。どの項目も軒並み高評価だった。
 特に多かったのはロケーションに関する評価。式場選びで重視されるポイントなので、良い結果が得られたのは大きい。
 私が危惧していたシェルパウダーの演出も「良かった」という声があった。しかし、そこはやはり要検討として後で強く伝えよう。
 また、料理に関する意見も多かった。ほとんどがバーベキュー形式だったため、「もっと品数が欲しかった」という要望が目立つ。しかし今回は低価格帯のプランに絞っているため、品目を増やすのは難しい。
 このあたりは今後の課題として、クライアントと相談する必要があるだろう。

 そこまで意見をまとめたとき、頭にポンと手が置かれた。
 驚いて顔を上げると、いつの間にかシロ先輩が立っていた。まったく気づかなかった。
 シロ先輩は私の隣に腰を下ろし、手に持っていた資料を机に置いた。

「みんな、おつかれ」

 シロ先輩が席についたことで、私たちは一旦作業の手を止めた。白谷吟がシロ先輩に声をかける。

「史郎もお疲れ様。矢城さんから聞いたけど、次の予定が入ったんだってね」
「ああ。ちょっと、面倒なことになりそうだ」

 手元の資料をチラリと見る。どうやら次の挙式カップルの情報らしい。

「どんな方なんですか?」

 萌乃が尋ねると、シロ先輩は淡々と説明した。

「もともと通常プランで話を進めていたんだが、妊娠が分かって挙式をキャンセルすると言い出した。だけどキャンセル料が発生する時期。それなら低価格プランのモニターとして簡易的な式を挙げてはどうかと、ホテル側が提案したらしい」

 本来ならキャンセル料だけ払って終わりという、マイナスな思い出しか残らない。それが同程度の額で簡易的でも挙式ができるなら、新郎新婦にとっては良い思い出になる。
 ホテル側としても「良心的なホテル」という印象を与えられ、口コミにも期待できる。
 両者にとってはウィンウィンだが、皺寄せが来るのは私たちだ。シロ先輩の話を聞きながら、私はまた頭を抱えたくなった。
 そんな私を見て、萌乃が不思議そうに首を傾げる。

「どうしたんですか? 明日花さん」
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