クロとシロと、時々ギン
砂浜の結婚式(12)
萌乃の質問に答えたのは、私ではなく白谷吟だった。
「萩田さん。矢城さんはね、これからの進め方に悩んでいるんだよ」
しかし萌乃はまだ腑に落ちないようで、首を傾げる。
「どうしてですか? フィードバックは2組まとめてで良いって言われたんですよね? あ、もしかして、もう次の企画を考えているとかですか?」
するとシロ先輩がゆっくり息を吐いた。
「クロはそんなに器用な奴じゃないからな。次の企画なんて、まだ何も考えてないだろ?」
図星を突かれ、私は思わず視線を逸らす。目の前の仕事をこなすだけで精一杯で、とても次の企画まで頭が回らない。
そんな私を見て、白谷吟がクスッと笑った。
「あのね萩田さん。僕たちの仕事は、言われたことを言われたままにやっていたらダメなんだ。今回で言えば、クライアントが“フィードバックは後でいい”と言ったからって、本当にその通りに動いていたら次のフェーズに移れない。だから僕らは、次に進めるようにするために、本来なら後日で良かった作業を今やってる。正直、今の僕らには時間が足りないんだ。矢城さんはそのことが分かってるから、ちょっと難しい顔をしてたんだよ」
白谷吟の説明を聞き、萌乃は「なるほど」と納得した。
真面目に説明され、真面目に納得されると、焦ったり苛立ったりしていた自分が急に情けなく思えてくる。
シロ先輩も白谷吟も、焦りを表に出さない。困った顔を見せても、すぐに平静に戻る。
それに比べて私はどうだ。不安と不満でいっぱいになってしまうなんて、情けない。
反省していると、隣のシロ先輩がポンと肩に手を置いた。見上げると、真っ直ぐな目で私を見ている。
「クロ、肩の力抜けよ。なんとかなるから」
その言葉に、ふっと気持ちが軽くなる。私は大きく深呼吸した。
「なんか、すみません。私だけ焦っちゃって」
謝ると、シロ先輩はニヤリと笑う。
「おまえらしくないな。いつもみたいに緩くやれよ」
一瞬、意味が分からず言葉に詰まる。シロ先輩は笑みを浮かべたまま続けた。
「無理するなんて、クロらしくないぞ」
その言葉に、思わずカチンときた。
「なっ……! 私は、いつだって真剣に仕事してますよ!」
「萩田さん。矢城さんはね、これからの進め方に悩んでいるんだよ」
しかし萌乃はまだ腑に落ちないようで、首を傾げる。
「どうしてですか? フィードバックは2組まとめてで良いって言われたんですよね? あ、もしかして、もう次の企画を考えているとかですか?」
するとシロ先輩がゆっくり息を吐いた。
「クロはそんなに器用な奴じゃないからな。次の企画なんて、まだ何も考えてないだろ?」
図星を突かれ、私は思わず視線を逸らす。目の前の仕事をこなすだけで精一杯で、とても次の企画まで頭が回らない。
そんな私を見て、白谷吟がクスッと笑った。
「あのね萩田さん。僕たちの仕事は、言われたことを言われたままにやっていたらダメなんだ。今回で言えば、クライアントが“フィードバックは後でいい”と言ったからって、本当にその通りに動いていたら次のフェーズに移れない。だから僕らは、次に進めるようにするために、本来なら後日で良かった作業を今やってる。正直、今の僕らには時間が足りないんだ。矢城さんはそのことが分かってるから、ちょっと難しい顔をしてたんだよ」
白谷吟の説明を聞き、萌乃は「なるほど」と納得した。
真面目に説明され、真面目に納得されると、焦ったり苛立ったりしていた自分が急に情けなく思えてくる。
シロ先輩も白谷吟も、焦りを表に出さない。困った顔を見せても、すぐに平静に戻る。
それに比べて私はどうだ。不安と不満でいっぱいになってしまうなんて、情けない。
反省していると、隣のシロ先輩がポンと肩に手を置いた。見上げると、真っ直ぐな目で私を見ている。
「クロ、肩の力抜けよ。なんとかなるから」
その言葉に、ふっと気持ちが軽くなる。私は大きく深呼吸した。
「なんか、すみません。私だけ焦っちゃって」
謝ると、シロ先輩はニヤリと笑う。
「おまえらしくないな。いつもみたいに緩くやれよ」
一瞬、意味が分からず言葉に詰まる。シロ先輩は笑みを浮かべたまま続けた。
「無理するなんて、クロらしくないぞ」
その言葉に、思わずカチンときた。
「なっ……! 私は、いつだって真剣に仕事してますよ!」