優秀な後輩で私も嬉しく思うので、どうぞ『先輩離れ』してください
願ってもいない再会と、気まずさから手探りで始まった関係。
『お試し期間』というどこか危うく不安定な恋の入り口を通り抜けた私たちは、いくつもの衝突と対話を積み重ねて、ようやくあるべき形に辿り着いた。
彼と夫婦になった今でも、私たちはこのオフィスでは対等だ。
仕事も愛も自分自身の誇りも、私は何1つ諦めなかった。
それでも破綻せずにいられたのは誰よりも私を愛し、私の可能性を信じてくれる『最高の相棒』が隣にいたから。
「先輩。そろそろ会議ですよ」
「ありがとう。さて、今日も円滑に終わらせるわよ」
「大丈夫ですよ。先輩と僕が組めば、怖いものなしですから」
迎えに来てくれた一ノ瀬君に頷きながら、そっとジャケットの襟を正す。そして、左手の指輪を見つめた。愛おしい銀色の光は、変わらないオフィスの日常と未来を、いつまでも温かく照らし続けてくれることだろう。
かつては迷い、立ち止まったこともあった。けれど今はも迷いなんて一切ない。
愛する人と共に、幸福に満ち溢れているであろう未来へと力強く踏み出したのだった。

