トップアイドルは白衣の天使に恋をする
「……紗凪」

低い声。

「今日、泊まってく?」

一瞬。

心臓が止まったみたいになる。

「……え」

見上げると。

陽貴くんは少し困ったように笑っていた。

「無理にとは言わないけど」

「ただ……」

少しだけ目を細める。

「俺はもう少し一緒にいたい」

その言葉に。

胸がぎゅっと締め付けられる。

今日一日。

たくさんのことがあった。

怖かったこと。

苦しかったこと。

泣きそうになったこと。

でも、その全部の隣に――

陽貴くんがいた。

「……私も」

小さく呟く。

「まだ、一緒にいたい」

そう言った瞬間。

ふっと、優しく笑った。

「……じゃあ決まり」

そう言って、また手を握られる。

――

エレベーターの中。

静かな空間。

隣に立つ陽貴くんとの距離が近くて、妙に意識してしまう。

でも。

指先はずっと繋がったまま。

離れない。

その温もりが、安心する。

チン、と音がして。

部屋の前。

陽貴くんが鍵を開ける。

「ただいま」

誰もいない部屋なのに、そう言う彼が好き。

「……おじゃまします」

少し照れながら中に入る。

ふわっと広がる、いつもの香り。

この数日、ずっと過ごした場所。

なのに今日は、なんだか少し違って感じる。

「とりあえず、楽な格好する?」

そう言いながら、クローゼットから大きめのTシャツを取り出してくれる。

「これ着ていいよ」

「……ありがとう」

受け取ると。

「絶対似合う」

さらっと言われて、また顔が熱くなる。

――
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