トップアイドルは白衣の天使に恋をする

第10章 クランクアップ

——それから、3ヶ月。





季節は少しずつ変わり。

気づけば、あんなに暑かった風も少し柔らかくなっていた。

私は相変わらず忙しい毎日を送っている。

ICU勤務。

フライト。

そしてドラマの撮影補助。

救急要請が重なる日もあれば、撮影が深夜まで押す日もある。

正直、体力的にはかなりハードだった。

でも不思議と苦じゃなかった。

病院には信頼できる仲間がいて。

撮影現場には笑い合えるメンバーがいる。

そして何より陽貴くんがいた。

お互い忙しくて、毎日会えるわけじゃない。

数日まともに連絡できない日もある。

夜中に「おつかれ」だけ送り合う日だってある。

それでも。少しの時間を見つけては会って。

仕事終わりにご飯だけ食べたり。

短い電話をしたり。

時には陽貴くんが夜中に会いに来たり。

そうやって。

少しずつ。

穏やかで、幸せな日常を積み重ねていた。

そして——

今日は。

ドラマ『ドクターズ〜救命最前線〜』最終話の撮影日。

朝から現場はいつも以上に慌ただしかった。

スタッフの空気もどこか特別で。

みんな少し浮き足立っている。

「ついに終わっちゃうねぇ」

メイクスタッフさんがしみじみ呟く。

「早かったですよね」

「ほんと!」

「最初あんな大変だったのに」

その言葉に、思わず苦笑いする。

本当に色々あった。

胡桃の件。

資格会議。

撮影中止。

再開。

今思い返しても、怒涛だった。

でも。

だからこそ。

この現場には特別な絆ができていた。
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