トップアイドルは白衣の天使に恋をする
ピピピピ――

PHSの音で意識が引き戻される

「一ノ瀬さん、緊急入院入ります!」

「はーい、すぐ行きます」

走り出す

考える暇なんてない

モニター、薬剤、ルート確保――
次々と判断を求められる

目の前の患者で、頭も体もいっぱいになる

だけど

ふとした瞬間に、よぎる

点滴を調整しながら、一瞬だけ思い出す、あの距離

あの声

あの視線

「……っ」

すぐに振り払う

今は仕事

そう自分に言い聞かせる

でも、

完全に消えることはなかった

夜

やっと一息ついてロッカーを開ける

スマホを確認する

――1件

「今日もおつかれさま」

それだけの短いメッセージ

でも、

胸がぎゅっと締めつけられる

なんで、こんな一言で

指が勝手に動く

「陽貴くんも、おつかれさまです」

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