一日の終わり、恋の始まり。
タクシーが止まり、ドアが開く。
「今日は…ありがとうございました」
そう言うと、彼は少しだけ笑った。
「こちらこそ。お疲れさまでした」
それ以上の言葉は、なかった。
ドアが閉まり、タクシーが走り出す。
窓越しに見えた彼の姿は、
すぐに雪の中に溶けていった。
家に着いて、コートを脱ぐ。
いつもと同じ部屋。いつもと同じ夜。
それなのに。
今日が終わったはずなのに。
胸の奥だけが、
静かに始まってしまった気がした。