一日の終わり、恋の始まり。

タクシーの中は、思ったより静かだった。

エンジン音と、
窓に当たる雪の音だけが続く。


さっきまで、
あんなに話していたのに。
今は無理に言葉を探す気になれなかった。


沈黙が、気まずくない。
それだけで、この夜はもう十分だった。


「……次、こちらなので」


私がそう言うと、彼はすぐに頷いた。


「お気をつけて」


当たり前みたいに言うその声が、
妙に優しく聞こえる。

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