アンコールはリビングで

1 もち麦と毛玉と神様の素顔

地鳴りのような歓声が、五万人のひしめくドームを揺らしている。

眩いスポットライトの束が、ステージの中央に立つ一人の男を鋭く射抜いた。

『――今日は本当にありがとうございます。皆さんの顔、全員見えてますよ』

マイクを通した低く甘い声に、客席から悲鳴のような歓声が爆発する。
洗練された衣装、伏せられた長い睫毛、ギターの弦を弾くしなやかな指先。

彼は誰もが平伏す、圧倒的なカリスマ性と色気を纏った『音楽の神様』だ。

彼が微笑めば世界が熱狂し、彼が歌えば何万人もの涙腺が崩壊する。

誰も手が届かない、天上界の絶対的スター――。

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