アンコールはリビングで
「……ばかだな、凪は」

俺は彼女の身体を反転させ、その両肩をしっかりと掴んで、真っ直ぐに彼女の瞳を見つめた。

「これが最後なわけねぇだろ」

「……湊」

「来年のことは、来年の俺が何とかする。……何年経っても、凪が飽きるくらい、何度でも夏の思い出なんか作ってやるよ」

俺の言葉に、凪の瞳が少しだけ大きく見開かれ、やがて、安堵したようにふわりと優しく細められた。

「……ふふ。その言い方、あの頃と全然変わってないね」

「俺の有言実行っぷり、知ってんだろ?」

俺が自信たっぷりに笑いかけると、凪も心底嬉しそうに笑い返してくれた。

「……うん。楽しみにしてるね」

「ああ。……だから、これからもずっと、俺の隣にいろよ」

返事の代わりに、凪の両手が俺の背中へ回された。

まだ明かしていない今夜の続きを胸の内に隠したまま、俺は涼しい顔で、その頭にそっと頬を寄せた。
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