アンコールはリビングで
通話終了のボタンを押した瞬間。

堰を切ったように、熱いものが頬を伝った。

「……っ、くそ……」

スマホを額に押し当て、俺は一人、静かに男泣きした。
それは悲しみの涙ではなく、生まれ変わるための涙だった。

ひとしきり感情を吐き出すと、部屋の静寂が不思議と心地よく感じられた。

もう迷いはない。

俺は涙を拭うと、スマホを手に取り、島崎さんの連絡先を表示させた。

こんな時間に連絡をするのは非常識だ。

でも、この熱が冷めないうちに、俺の覚悟を伝えたい。
俺はメール作成画面を開き、震える指で文字を打った。

『島崎さん。先日の件、決心がつきました。明日以降、少しお時間をいただけないでしょうか』

送信ボタンを押す。
画面に表示された「送信完了」の文字を見つめながら、俺は深く息を吐いた。

彼女が信じてくれた「俺」になるために。

俺の本当の戦いは、ここから始まる。
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