アンコールはリビングで

Demo Tape 7 琥珀色のプレリュード

1. 春色の待ち合わせ

春の陽気が心地よい、土曜日の午前11時。
恵比寿ガーデンプレイス・時計広場。

予定より早く着いた俺は、柱に背を預けて彼女の姿を待っていた。

いつものスーツとは違う、ベージュのステンカラーコートに、下ろしたての白いニット。
ワックスで無造作に遊ばせた髪。

仕事モードの「きっちりした早瀬湊」ではなく、素の、一人の男としての俺でここに立っている。

それがなんだかこそばゆくて、少しだけそわそわする。

「……あ、早瀬くん!」

人混みの中から、聞き慣れた、でもいつもより弾んだ声が聞こえた。

顔を上げると、そこには春の木漏れ日をそのまま纏ったような彼女がいた。

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