アンコールはリビングで
「……わぁ……」

黒いベルベットの上に鎮座していたのは、冷たく洗練された輝きを放つ、プラチナのペアバングルだった。

無駄な装飾を一切削ぎ落とした、シンプルで極上のデザイン。細身で華奢なレディース用と、少しだけ太さのあるメンズ用が、寄り添うように綺麗に並んでいる。

「湊、これ……」

言葉を失っている私に、湊は「腕、出して」と短く促した。
少し強引に私の左手を引き寄せると、彼は私の細い手首に、プラチナのバングルをそっと滑り込ませた。

ひんやりとした金属の感触が、お風呂上がりの熱を持った肌に吸い付くように馴染む。

私たちの肌に、プラチナの澄んだ銀色は恐ろしいほどよく似合っていた。

「……うん。やっぱりすげぇ似合う。俺の目に狂いはなかった」

バングルを選ぶため、彼もまた、ショーケースの前で私を想像しながら悩み抜いてくれたのだろうか。

彼は至近距離で私の耳元に囁き、バングルを着けた私の手首――ちょうど脈打つ部分に、ちゅ、と熱いキスを落とした。

その恭しくも独占欲に満ちた仕草に、背筋にゾクゾクと甘い痺れが走る。

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