アンコールはリビングで

Special track 5 熱帯夜のサイレン

1. 軋む歯車と、自己犠牲の呪縛

――去年の夏。

記録的な猛暑が続き、夜になっても熱気がまとわりつくような、息苦しい季節だった。

当時の私は、社会人9年目。

大亜印刷の空間デザイン部門で現場ディレクターとして働き、いくつかの大きなプロジェクトを同時に抱え、まさにキャリアの中堅としてバリバリと駆け回っていた。

『私がやらなきゃ』

『ここで私が弱音を吐いたら、チームのみんなに迷惑がかかる』

毎日毎日、そんなプレッシャーが頭の中で警鐘を鳴らし続けていた。

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