アンコールはリビングで
連日の深夜残業。

まともに座って食事を取る時間もなく、移動中にコンビニのゼリー飲料を流し込むだけの日々。

睡眠時間は削られ、慢性的な頭痛と吐き気がずっと付きまとっていた。

「……凪、最近マジで顔色悪い。ちょっと働きすぎだろ。週末くらい休めよ」

同棲している湊は、そんな私の異変にいち早く気づき、心配してくれていた。

けれど、この時期、彼は彼で、年明けにリリースを控えたアルバム『Sanctuary』の制作が大詰めで、連日深夜までスタジオに缶詰になり、ひどく疲労を滲ませていたのだ。

これまで、どちらかが忙しい時はどちらかが支える、というバランスでやってきた私たちだったが、この夏は不運にも、お互いの殺人的な多忙期が完全に重なってしまっていた。

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