アンコールはリビングで
8月7日。
私が31歳の誕生日を迎えた日も、お互いに深夜まで仕事に追われ、日付が変わるギリギリに小さなケーキを半分こするだけの、ごく簡単な形でお祝いを済ませていた。

『ごめん、来年は絶対、ちゃんとした特等席で祝うから』

疲れた顔で、ひどく悔しそうに笑う彼に、私も無理をして笑い返した。

「大丈夫だよ、湊。今週が山場だから。これをお互い乗り切ろうね」

自分の悲鳴すら聞こえないふりをして、限界を超えて倒れるまで。

私は、軋む身体を引きずって、ひたすらに走り続けてしまったのだ。

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