アンコールはリビングで
4. 待つ側の景色

夕方。
すっかり体力が戻った俺は、凪が帰ってくる前に家のことを済ませておこうと動き出した。

ここ数週間、仕事にかまけて家事なんて全くできていなかった。

洗濯機を回して干し、風呂掃除をしてお湯を張る。
そして、冷蔵庫の残り物を使って、胃腸に優しい卵とじうどんを作ることにした。

出汁の香りがキッチンに広がる中、俺はふと、ダイニングテーブルに並べた二つの器をじっと見つめた。

「……」

誰もいない、静かなLDK。
夕飯を作り終え、あとは彼女の帰りを待つだけの時間。

時計の針の音だけが響く空間で、俺の胸の奥に、チクリとした痛みが走った。

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