アンコールはリビングで
「凪の方はどうだ?」

「うーん……なかなか難しいね。力加減が……あっ、ちょっと歪んじゃった」

彼女のろくろの上にあるのは、俺の器とは対照的な、柔らかい丸みを帯びた小鉢だった。

丁寧に、優しく形を整えようとしているのが伝わってくるが、手作りのご愛嬌というか、どこか少しだけいびつな形をしている。

色は、彼女の雰囲気にぴったりの、優しいアイボリーを選んだようだ。

「……でも、味があってすげぇいいじゃん。凪らしくて、なんかほっこりする形だな」

「本当? 失敗作だって笑わない?」

「笑うわけねぇだろ。……これ、凪がいつも作ってくれる、ひじきの煮物とか、ほうれん草のおひたし入れるのにちょうどいいな」

俺が二人のこれからの食卓を想像してそう言うと、凪は泥のついた手で口元を覆い、嬉しそうに目を細めた。

「ふふっ、そうだね。湊のその大きなどんぶりには、豚の角煮とか、具沢山の豚汁が似合いそう」

「お、最高だな。それ、器が届いたら絶対作ってくれよ」

「うん、約束する」

二人で泥だらけになりながら、笑い合って完成させた二つの器。
俺の作った濃い藍色のどんぶりと、凪の作った優しいアイボリーの小鉢。

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