アンコールはリビングで
「……っ、」

ふらつく足取りでキッチンへ向かうと、シンクの横に、昨夜凪が俺のために作ってくれていた『サムゲタン風スープ』の小鍋が置いてあった。

昨夜は疲れすぎて、どうしても腹に入れる気になれなかった。

その時の、ひどく悲しそうな、無理に笑おうとする彼女の顔が脳裏に焼き付いている。

(……このまま食わずに出たら、凪、絶対にもっと寂しい思いするよな……)

彼女自身もただでさえ新年度で仕事が忙しいのに、俺の体調を気遣って、わざわざ胃腸に優しいスープを作って深夜まで待っていてくれたのだ。

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