アンコールはリビングで
3. 決壊した強がりと、クリティカル・ヒット

「……なぎ、……?」

ソファの隣で、不意に大きな声を出した凪の顔を覗き込んで、俺は息を呑んだ。

「……やだ、もう……見せないで……っ」

自分でも止められなかったのか、彼女の大きな瞳から、大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちていた。

「……本当は、かっこよすぎて……しんどいくらい、大好きなのに……っ。なんで、みんなに見せちゃうの……」

「……えっ、ちょ、凪、泣くなって……! 俺、冗談で……っ」

慌ててフォローしようとするが、一度決壊した彼女の涙は止まらなかった。

「……冗談でもやだ……っ。みんなに、湊のそのかっこいいとこ、見せたくなかった……っ。私だけの、湊でいてほしかったのに……っ!」

凪は両手で顔を覆い、子供のようにしゃくりあげて泣き始めた。

< 544 / 796 >

この作品をシェア

pagetop