アンコールはリビングで
「……あのさ、凪」

「ん?」

「ツアーに向けて、ちょっとでも気合いというか、元気が欲しくてさ……」

湊は空になったお茶碗の縁を指先でなぞりながら、どこか照れくさそうに言葉を濁した。

「……凪が負担じゃなければでいいんだけど。凪のお昼の弁当と同じメニューでいいから、もち麦のおにぎりの1つでも、俺にも作ってくんねぇ?」

上目遣いで、少し遠慮がちにおねだりしてくる湊。
その予想外の提案に、私は思わず目を丸くした。

「えっ! お弁当、作っていいの!?」

私が食い気味に、むしろ大喜びで身を乗り出すと、湊は驚いたようにパチパチと瞬きをした。

「え、いいのか? 凪も朝忙しいし、大変じゃなければ頼みてぇなって思ってたんだけど……」

「全然大変じゃないよ! お弁当、自分の分を毎日作ってるから、1つも2つもそんなに手間は変わらないし。……それに、湊が私のご飯を外でも食べてくれるなんて、すっごく嬉しい!」

「……っ、マジか。……やった。よっしゃ、明日から昼メシが楽しみだわ」

分かりやすくパァッと顔を輝かせる湊を見て、パパラッチへの不安で冷えていた私の心も、じんわりと温かく解れていくのを感じていた。

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