アンコールはリビングで

Special track 7 23時の不純な動機

1. 冬の現場と、二次元の推し

湊がメジャーデビューを果たしてから、1年半ほどが経とうとしていた、12月半ばの、芯から冷えるような冬の日。

「……ふぅ、さむっ」

暖房の効きが悪い、現場の仮設の控え室。

ディレクターとして現場を駆け回っていた私は、パイプ椅子に腰掛け、すっかり冷え切ってしまったコンビニのおにぎりを齧りながら、コーヒー片手にスマホの画面を見つめていた。

泥臭く図面と職人さんたちの間に揉まれる日々の、束の間の昼休み。

(……あああ、やっぱりこの役、最高にかっこいい……っ)

疲労が溜まっている最近、私は電子コミックのアプリで、ある大人の恋愛漫画にすっかりハマってしまっていた。

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