アンコールはリビングで
温かい湯船に浸かりながら、俺は『凄腕フィクサー』としての鎧を完全に洗い流す。

風呂から上がり、着慣れた部屋着のTシャツとスウェットに着替えてリビングに戻ると、華が温かい紅茶と一緒にスイーツをお皿に並べて待ってくれていた。

「……司と優里は、今日いい子にしてた?」

「それがね、司ったら今日、保育園で……」

隣に座ってスイーツを頬張りながら、華の楽しそうな保育園の報告に耳を傾ける。

テレビの音と、華の笑い声。
この温かくて穏やかな時間が、俺にとっての何よりの報酬だ。

紅茶を飲み終え、俺は「ごちそうさま」と笑って、華の頬にチュッと軽くキスをした。

「きゃっ、ちょっと優太、急に……」

「ふふ、いいでしょ。俺の特権」

照れて笑う華を愛おしく見つめながら、俺は心の中で静かに誓った。

早瀬湊と凪さん。
あの不器用で純粋な二人のに、二度とあんな薄汚いレンズを向けさせはしない。

ステラミュージックの島崎優太が、二人の未来を、彼らが俺たちみたいに温かい家族になれるその日まで、全力で守り抜いてみせる。

愛する妻と、子どもたちの寝顔。

自分の最も大切で愛おしい『聖域』に満たされながら、俺はその夜、久しぶりに深く、穏やかな眠りへと落ちていった。
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