アンコールはリビングで
『ファンの間では、『音楽の神様』とまで言われることもあるとか!?』

『いやいや、神様だなんてとんでもないです。僕1人の力じゃないので。周りのスタッフと、聴いてくださるファンの皆さんのおかげです』

画面の中で、湊が少し困ったように謙遜し、綺麗に頭を下げる。


澄兄:『音楽の神様www』

泉:『神様だって(笑)昔、Fコードが押さえられなくて澄兄に泣きついてたあの湊がねぇ』

澄兄:『あの頃は可愛かったなぁ。今はもう俺よりデカいし、口も悪いし』

泉:『でも、受け答えの品の良さは隠しきれてないわよ。やっぱり早瀬家の教育の賜物かしら』


私たちは、テレビの中の『完璧なスター』を相手に、好き勝手に身内ならではのツッコミを入れて楽しんでいた。

だが、番組が中盤に差し掛かり、話題が今年の大ヒットアルバム『Sanctuary』の制作秘話へと移った時。

画面の中の湊の纏う空気が、微かに、けれど決定的に変化したのを、私と兄は同時に感じ取った。

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