アンコールはリビングで
「……っ、凪! できた、マジで最高の……」

興奮冷めやらぬまま寝室へ向かおうと立ち上がりかけて、ハッと足を止めた。

ドアの向こうは、静まり返っている。
明日の朝が早い凪は、すでに深い眠りについているはずだ。

「……そっか。寝てんだよな」

一人取り残されたリビングで、俺はふうっと長く息を吐き出した。

普段なら、曲が完成した後はすぐにシャワーを浴びて、凪の隣に潜り込んで眠る。

だが、今夜ばかりは脳内のアドレナリンが沸騰していて、とてもじゃないがすぐに眠れそうになかった。

「……ちょっとだけ、飲むか」

キッチンへ向かい、戸棚の奥から琥珀色のウイスキーのボトルを取り出す。
グラスに氷を一つだけ落とし、トクトクと琥珀色の液体を注いだ。

普段、家で一人で酒を飲むことなんて滅多にない。
だが、今日くらいは祝杯をあげてもバチは当たらないだろう。

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