アンコールはリビングで
3. 境界線が溶ける夜

寝室のドアを、音を立てないようにそっと開ける。

間接照明だけが点された薄暗い部屋のベッドには、毛布にくるまって、規則正しい寝息を立てる凪の姿があった。

「……凪」

ふらつく足取りでベッドに近づき、床に膝をついて、彼女の寝顔を間近で覗き込む。

アルコールのせいか、全身が熱い。
そして、目の前で無防備に眠る彼女の姿が、どうしようもないほど愛おしくてたまらなかった。

「……すげぇ曲、できたんだよ。……早く、凪に一番に聴かせたい……」

ふにゃりと、自分でも分かるくらいだらしない笑顔がこぼれる。
そっと手を伸ばし、彼女の頬にかかった髪を撫でた。

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