アンコールはリビングで
4. 微睡みの暴走

(……ダメだろ。凪、明日仕事だし。……疲れて寝てんだから)

理性は確かに、頭の片隅で微かに警鐘を鳴らしていた。

しかし、腕の中にいる最愛の女の感触と匂い、そしてアルコールで溶かされた判断力は、意味のない理屈をいとも簡単に剥がれ落としてしまった。

「……凪」

俺の腕が、凪の腰に強く巻き付き、自分の方へとさらに引き寄せる。
そのまま、無防備な彼女の首筋に、背後からそっと顔を埋めた。

「……っ、ん、……」

眠りの浅くなった凪が、触れられた感触に反応して、小さく色っぽい寝息を漏らす。

その無防備で、甘く艶やかな声。
ただでさえ凪の匂いと柔らかさで限界を迎えていた俺の理性の輪郭線が、夜の闇に完全に溶け出した瞬間だった。

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