アンコールはリビングで
3. 食卓での「本当のアンコール」

ようやく食卓につき、向かい合って座る。

湊の顔には、さすがに隠しきれない疲労の色が滲んでいるけれど、その瞳は穏やかで、幸せそうに緩んでいた。

「じゃあ……」

「「いただきます」」

全く同じタイミングで揃った声に、私たちは顔を見合わせて笑ってしまった。

「凪のメシ、まじで沁みる……うまい。ありがとな」

湊はしみじみとそう言って、私が作ったものを愛おしそうに眺めた。

「……食事といえばさ、福岡の初日の夜、島崎さんが気を利かせて高級なルームサービスを頼んでくれたんだよ」

「へぇ、どんなメニューだったの?」

私が身を乗り出して尋ねると、湊は少し遠い目をして苦笑した。

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