アンコールはリビングで
4. 待ちきれない「おかえり」と、俺の特等席

リビングの時計が、凪のいつもの帰宅時間を指そうとしていた。

料理のセッティングも完璧。
お風呂も、ちょうど沸き上がった合図のメロディが鳴ったところだ。

いつでも帰ってこい、とソファに腰を下ろしてスマホをいじろうとした、その時。

ガチャリ、と。
玄関の向こうから、ドアが開く音が聞こえた。

「っ……!」

その音を聞いた瞬間、俺の身体は頭で考えるよりも先に動いていた。

スマホをソファに放り投げ、弾かれたように立ち上がると、長い廊下を小走りで玄関へと向かった。

まるで、大好きな主人の帰宅を待ちわびていた大型犬のように。

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