アンコールはリビングで
42 幕間の祝祭
1. 0時の魔法と、朝の仕込み
6月10日。水曜日。
まだ街が眠りの中にいるような早朝、私は一人静かにキッチンに立ち、今夜のための特別な晩ご飯の仕込みを始めていた。
コトコトと弱火で小鍋を煮詰めながら、昨夜の出来事を思い出す。
日付が6月10日に変わった、午前0時ちょうど。
私はベッドの中で、隣で眠そうに目を擦っている彼の方を向き、「湊、おめでとう」と囁いて、自分からそっと唇を重ねた。
不意のことに、湊は少し驚いたように瞬きをして、それから「……っ、サンキュ」と、どこか照れくさそうに、でも愛おしそうに笑ってくれたのだ。
あの時の、少し子どもっぽくて可愛い表情。
普段、何万人の前で不敵に笑う彼の素顔を知っているのは私だけだという優越感が、胸の奥を甘くくすぐる。
彼は今、ツアーの真っ最中。
ここ二日間は完全オフではなかったけれど、ボイトレやメンテナンス、打ち合わせといった「表に出る仕事」以外の調整をこなしながら、普段よりは身体を休めることができていたようだった。
今年も彼の大切な日を、こうして一緒に祝えることが何よりも嬉しくて、私は浮き足立つ心を抑えきれないまま、今夜のディナーの仕込みに勤しんだ。
6月10日。水曜日。
まだ街が眠りの中にいるような早朝、私は一人静かにキッチンに立ち、今夜のための特別な晩ご飯の仕込みを始めていた。
コトコトと弱火で小鍋を煮詰めながら、昨夜の出来事を思い出す。
日付が6月10日に変わった、午前0時ちょうど。
私はベッドの中で、隣で眠そうに目を擦っている彼の方を向き、「湊、おめでとう」と囁いて、自分からそっと唇を重ねた。
不意のことに、湊は少し驚いたように瞬きをして、それから「……っ、サンキュ」と、どこか照れくさそうに、でも愛おしそうに笑ってくれたのだ。
あの時の、少し子どもっぽくて可愛い表情。
普段、何万人の前で不敵に笑う彼の素顔を知っているのは私だけだという優越感が、胸の奥を甘くくすぐる。
彼は今、ツアーの真っ最中。
ここ二日間は完全オフではなかったけれど、ボイトレやメンテナンス、打ち合わせといった「表に出る仕事」以外の調整をこなしながら、普段よりは身体を休めることができていたようだった。
今年も彼の大切な日を、こうして一緒に祝えることが何よりも嬉しくて、私は浮き足立つ心を抑えきれないまま、今夜のディナーの仕込みに勤しんだ。