アンコールはリビングで
「……よし。これで、お互い様だな」

真っ赤になって息を乱す私を見て、彼は低く喉を鳴らして笑った。

そして、私の腰に回していた腕をギリギリのところで解き、チラリとテーブルの上のケーキに視線をやる。

「……続きは、あとで。さっき俺を待たせた罰として、今度は凪が『お預け』な」

余裕たっぷりに笑って見せるけれど、その琥珀色の瞳は熱く、呼吸もまだ少し荒い。
彼が今、どれほどの理性を総動員して「お預け」と言ってくれているか、痛いほど伝わってきた。

「……ケーキ、食べなきゃ、ね!せっかく買ってきたのに、ぬるくなっちゃう」

限界の彼をこれ以上煽らないように、私が熱い顔を誤魔化しながら慌てて言うと、湊は上機嫌そうに「おう」と頷き、ケーキを一口頬張った。

「はー……やっぱうまいわ。これ、口の中ですぐ溶けるのな。……今まで食ったどのケーキより、一番美味いわ」

「ふふ、そうでしょ? 私の選んだケーキ、間違いないんだから」

甘いケーキを口に運びながら、私たちはまたいつものように笑い合う。

けれど、湊の首元で時折キラリと光るプラチナが、彼が間違いなく「私のもの」であるという確かな印として、私の胸を温かく、そして激しく震わせ続けていた。
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