アンコールはリビングで
「次に歌う曲は……僕にとっての『聖域』であるだけでなく、聴いてくださる皆さんの心の中にある、誰にも侵されない不可侵の『聖域』を想って、聴いていただきたいです」
静かな、けれど熱を帯びたMCから、シームレスに今回のツアーの象徴であり、アルバムのタイトルトラックでもある『Sanctuary』の優しく包み込むようなイントロが流れ出す。
その瞬間だった。
早瀬くんの纏う空気が、フッと柔らかく一変した。
彼はマイクスタンドを握りしめる直前、左手首に着けているプラチナのバングルに、右手の指先でそっと、祈るように触れた。
モニターに大写しになった彼の表情は、ファンを魅了するスターの作られた微笑みなどではない。
遠く離れた場所にいるたった一人の存在を想い、彼女と過ごすあのリビングという『聖域』を心に描き出しているような、どこまでも深く、愛おしい気持ちが溢れ出している顔だった。
「……っ!!」
客席から、ため息と悲鳴が入り混じったような歓声がドームの天井に向かって弾け飛ぶ。
本人は無自覚だろう。
だが、彼がカメラのレンズの向こう側、東京で帰りを待っている凪さんを想って漏らしたその深い愛情が、結果として五万人のファンをなぎ倒す、圧倒的な色気に変換されてしまっているのだ。
静かな、けれど熱を帯びたMCから、シームレスに今回のツアーの象徴であり、アルバムのタイトルトラックでもある『Sanctuary』の優しく包み込むようなイントロが流れ出す。
その瞬間だった。
早瀬くんの纏う空気が、フッと柔らかく一変した。
彼はマイクスタンドを握りしめる直前、左手首に着けているプラチナのバングルに、右手の指先でそっと、祈るように触れた。
モニターに大写しになった彼の表情は、ファンを魅了するスターの作られた微笑みなどではない。
遠く離れた場所にいるたった一人の存在を想い、彼女と過ごすあのリビングという『聖域』を心に描き出しているような、どこまでも深く、愛おしい気持ちが溢れ出している顔だった。
「……っ!!」
客席から、ため息と悲鳴が入り混じったような歓声がドームの天井に向かって弾け飛ぶ。
本人は無自覚だろう。
だが、彼がカメラのレンズの向こう側、東京で帰りを待っている凪さんを想って漏らしたその深い愛情が、結果として五万人のファンをなぎ倒す、圧倒的な色気に変換されてしまっているのだ。