アンコールはリビングで
Liner Notes 2 神様が還る場所
1. 幕引きの舞台袖、愛おしさが溢れる横顔
日曜日の夜。
福岡のドームでの、『Sanctuary -The Encore-』ツアー二日目。
俺、島崎は、ステージ袖の暗がりに立ち、腕組みをしたまま目の前の光景をじっと見つめていた。
インカムからは、ディレクターの的確な指示と、ドームの広大な空間をビリビリと震わせるようなバンドサウンドが絶え間なく流れ込んでくる。
視線の先、五万本のペンライトが銀河のように揺れるその中心で、一筋の強いスポットライトを浴びているのが、俺がデビュー前から伴走してきたアーティスト、早瀬湊だ。
「……今日は本当にありがとうございました。皆さんの声、僕の心の奥まで届いています」
マイクを通した早瀬くんの声は、どこまでも澄んでいて、上品で、そして誠実だ。
表舞台での彼は、一人称を『僕』とし、ファンに対しては常に完璧で丁寧な言葉遣いを紡ぐ。
それは彼自身が選んだ、応援してくれるファンに対しての誠意であり、エンターテイナーとしての礼節だった。
額に光る汗をタオルで優しく拭い、彼が静かに息を吸い込む。
ドーム全体が、次の彼の言葉を待って水を打ったように静まり返った。
日曜日の夜。
福岡のドームでの、『Sanctuary -The Encore-』ツアー二日目。
俺、島崎は、ステージ袖の暗がりに立ち、腕組みをしたまま目の前の光景をじっと見つめていた。
インカムからは、ディレクターの的確な指示と、ドームの広大な空間をビリビリと震わせるようなバンドサウンドが絶え間なく流れ込んでくる。
視線の先、五万本のペンライトが銀河のように揺れるその中心で、一筋の強いスポットライトを浴びているのが、俺がデビュー前から伴走してきたアーティスト、早瀬湊だ。
「……今日は本当にありがとうございました。皆さんの声、僕の心の奥まで届いています」
マイクを通した早瀬くんの声は、どこまでも澄んでいて、上品で、そして誠実だ。
表舞台での彼は、一人称を『僕』とし、ファンに対しては常に完璧で丁寧な言葉遣いを紡ぐ。
それは彼自身が選んだ、応援してくれるファンに対しての誠意であり、エンターテイナーとしての礼節だった。
額に光る汗をタオルで優しく拭い、彼が静かに息を吸い込む。
ドーム全体が、次の彼の言葉を待って水を打ったように静まり返った。