アンコールはリビングで
2. 喧騒のバースデーと、プロの仮面

仕事の現場に到着するなり、早瀬くんは「神様」の仮面を隙なく顔に貼り付けた。

昼からの生放送ラジオ特番『SOUND STAGE』。

『――さて! 今日は早瀬湊くんの三十歳のお誕生日です! おめでとうございます!』

『ありがとうございます。……支えてくれる皆さんに、感謝しかないです』

マイクの前で誠実に語る彼の声は、電波に乗って全国のファンへと届けられる。

ブースの外で見守る俺は、彼が時折、マイクの向こう側にいるであろう「たった一人の女性」に向けて、暗号のような深い感謝を混ぜ込んでいるのを、溜息混じりに見守っていた。

昼過ぎ。音楽雑誌のインタビューとスチール撮影。
スタジオには、取引先や各媒体から贈られた豪華で色とりどりのデコレーションケーキや、抱えきれないほどの花束が並んだ。

フラッシュを浴びながらミリ単位でポーズを変える彼は、誰が見ても非の打ち所がないトップスターだ。

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