アンコールはリビングで
3. ミューズの準備と、約束の地へ

湊が出かけていき、ドアが閉まり、静寂が訪れる玄関。

「さて……私の方は、家のことはパッと終わらせて、久しぶりの『推し』のライブ準備、しなくちゃね」

私は小さくひとりごちて、気合を入れるように両頬をパンッと叩いた。

どうしよう。
何着て行こう。

私はここ最近で一番、クローゼットの前で頭を抱えて悩んでいた。

湊が用意してくれた「関係者席」は、丁重にお断りした。

今回はあくまで「FC枠の一ファン」として行くのだ。

アリーナの熱気の中で、飛び跳ねても大丈夫な動きやすさもありつつ、でも『大好きな彼氏の晴れ舞台』なのだから、絶対に一番可愛い自分でいたい。

購入済みのツアーTシャツやら、FC限定グッズやらをベッドの上に並べて、ああでもない、ここでもないと悩むこと一時間。

ようやく、今日の私にとっての『完璧な戦闘服』が決まった。

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