アンコールはリビングで
「……いってらっしゃい。湊」

驚いたように瞬きをする彼を見つめ返し、私は一番の笑顔で言った。

「湊には、いつでもこのリビングがあるんだから。今日の舞台では、心置きなく、存分に暴れまわってきてね」

帰ったら安らげる、私たちの『聖域』がある。
だから、表舞台では好き放題やってきて。

私からの最高のエールを受け取った湊は、たまらないといった風に目を細めた。

「……っ、やっぱ、凪は俺のミューズだわ。サンキュ」

彼はそう言うと、玄関の壁に肘をつき、少し屈み込んで私の唇に深く、熱いキスを落とした。

言葉通りの「ミューズ(女神)」への祈りのような、甘いキス。

「……最高の夜にするから、楽しみに待ってろ」

極限まで研ぎ澄まされた、圧倒的なトップスターとしての熱と色気を孕んだ声。

そのままの足取りで、彼はドームという約束の場所へ向けて出かけていった。

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