アンコールはリビングで
4. 祭りの後と、姉のド正論の喝

終演後。

五万人の熱狂の波に揉まれながらドームを脱出した私たちは、水道橋駅近くの少し落ち着いた和食居酒屋の個室に転がり込んでいた。

「「……お疲れ様でした」」

カチン、と。

冷たい生ビールのジョッキと、烏龍茶のグラスを合わせる。

「……うちの弟、完全に神様だったな」

「ええ……凄すぎて、なんか寿命縮んだわ。疲れた……」

私たちは二人して、完全に放心状態の抜け殻になっていた。

あんなに大きなステージで、たった一人で五万人を熱狂させるプレッシャー。

それを跳ね除けて堂々と歌い切った弟の姿は、私たちの想像を遥かに超えるほど大きくなっていた。

「四年前、あのホテルのラウンジでさ。『会社辞める』って聞いた時はどうなるかと思ったけど」

「うん。あの時の湊の決断は、間違ってなかったわね」

親の敷いたエリートのレールを外れ、すべてを捨てて音楽と凪ちゃんを選んだ弟。

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