幼なじみは不滅です!
「えっ? でも、今の瞬くんは隼人だよね?」

あたしの声が、戸惑いで少し震える。

「おう。だけど、中身は同じ俺でも、俺は俺の生活、瞬は瞬の生活があるんだ」
「それって、隼人の能力の影響で、『瞬くんが死んだ事実』がなくなっているってこと……なの……」

あたしは頭の中で必死に整理する。
つまり今、この世界で瞬くんが死んだ事実を知っているのはあたしたちしかいない。
もはや、それは『もう一人の自分を生み出す能力』っていうより、『別人を生み出す能力』っていった方が正しいのかもしれない。
あたしは、隼人が手に入れた能力の意味を知っていく。
考えれば考えるほど、嫌な予感がして胸が苦しい。
このまま、この状況が続いたら、隼人と瞬くんはどうなってしまうんだろう……。
そう考えると、渦巻く不安はどうしようもなくふくらんでいくばかりだった。

「ねえ、隼人。もし、この状況が続いたら、どうするの? このままだと、隼人は、隼人の人生と瞬くんの人生、二人分生きることになるよ」
「うーん、そうだな。もしそうなったら、二人分の人生、とことん楽しむだけだ」

隼人は嬉しそうにガッツポーズをすると、興味津々で聞いてきた。

「こはるこそ、ずっとステータスが見えたら、どうするんだよ?」
「ええっ!? ずっとステータスが見える状態!!」

うわあっ!
それって絶対に、今より大変な状況になっちゃうよ!
言い知れない不安を抱いていると、隼人はあたしの顔をのぞき込んでにっと笑った。

「こはる、心配するなよ。この不思議な能力、一緒に楽しもうぜ!」
「うーん、楽しむ……。確かにステータスとか、スキルとか、ゲームみたいでおもしろいかも」

心配事はつきないけど、確かに今は行動するしかないよね。
あたしたちが持っている不思議な能力。
この能力の仕組みをもっと知りたいなって思うと、何だかウズウズした。

「だったら、みんなの役に立つようなことをしたい!」
「役に立つようなことか」

隼人は、それが何か分かったような表情で見つめてくる。
あたしは大きく息を吸って、力強く語りかけた。

「うん! みんなの困っていることを、この能力で解決したい! モノの望みをかなえたら、きっと他の人たちの困ったことも解決すると思うから!」
「それ、いいな。なら、俺たちで……いや、俺たち三人でやろうぜ!」

隼人が付け加える。
『三人』という言葉に、心がぽかぽかしてくるのが分かった。

「俺の『もう一人の自分を生み出す能力』と、こはるの『ステータスが見える能力』。俺たちの力を合わせたら、どんな問題も解決するしーな!」
「うん、どんな問題も解決だよ!」

隼人と瞬くんがいれば、いつもどおりが特別になる。
不思議と肩の力が抜けて、気持ちが前を向いたんだ。
< 8 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop