ドア開けたら元カレが寝てた
「はぁ……まずはお皿を割らない練習からやらなきゃいけないかもね」
やれやれとばかり頭を振る彼女。
お皿の破片まで片付けてもらって申し訳ない……。
今度お詫びに食器を買ってこよう。
まぁ…とはいえ、家事はおろか、最近ろくにまともな生活してないんだから、お皿の扱い方なんて忘れちゃうよね。きっと。
この調子で俺、ちゃんと家事なんてできるんだろうか?
「はぁ……俺は悩ましい男だ」
とか思いつつも、俺の口角は不思議と上がっていた。
「とりあえず…机座っといて」
「りょーかい」
なかなか颯也と呼んでもらえないのがちょっと悔しい。
彼女は俺よりも素早い所作で食器を丁寧に並べていく。
丁寧なとこ、昔と全然変わってないな。
少し痩せただろうか。
仕事疲れているのかな。隈も深いし。
休み本当に取れてるの?
もしかして、会社のせいだったりする?
「……」
…………そんな会社、潰してしまおうか。
「ほら、さっさと食べちゃお」
「……ん、そうだね」
いけねっ。
ちょい裏の顔が出てたかも。
一口。
湯気が上がる食パンをゆっくりと噛み締める。
…美味しい。
こんなにまともに食べたの久しぶりかな。
「結構上手くできたわ、ははは!」
「うん、美味しいよこれ〜」
大口を開けて笑うところもかわいい。
まるで俺がふつうの人に戻ったみたいだ。
「トーストうまっ…」
そんなこと、ありえないけどさ。
でも。
「よし! まずは洗濯から教えるか!」
「せ、せんたく?」
「絶対洗剤とお水無駄にすんじゃないよ」
「…………善処しまぁす」
水道代今高いんだから。
そう言って笑う彼女を。
守るために、俺は裏社会に入ったんだって。
そう思い出させてくれてありがとう。
「優里ー、俺頑張るからこれからもお世話お願いね!」
「……私あんたの飼い主じゃないんだけど?」