獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢

011 諦観

「フレデリック……どうしてここに?」

 驚き過ぎて頭の中が真っ白になっていた私は、頭に浮かんだ疑問を、そのまま口にしていた。

 フレデリックは高位貴族で次期公爵ではあるけれど、学生なので城では働いていない。

「国外追放を前に城で保護されたという、ブライスを見に来た……まさか、こうして偶然会えるとは思わなかった」

「どういうこと……?」

 淡々としたフレデリックの言いようを、私は不思議に思った。だって、彼は偶然会ってしまったという訳ではなく、私がここに居ると確信して城に来たように聞こえたからだ。

「何も知らないのか。ブライス。ヴィルフリート・レイドが君の境遇について、殺人未遂は重罪とは言え、若い貴族女性に対し、あまりにも扱いが酷いと王太子殿下に進言し、陛下も彼の言い分を認めた。だから、ブライスの身柄は、一時的に彼が保護して後見する……と、そういうことになっている」

「……! それは、知りませんでした。私には、彼は何も」

 そうだったんだ! だから、そういう事情もすべて知っている聖竜騎士団の面々は私に対し、深入りせずに放っておいてくれたんだ。 

 ……けど、今思うとヴィルフリートにそう知らされていれば、私は彼に申し訳ないのでと、すぐに出て行っていたかもしれない。

 だから、この彼の対応が私の今後にとってベストであったのかもしれない。

「……ブライス。婚約破棄をされてから、竜騎士を手玉に取ったとか。フロレンティーナが言って居た通りに、ふしだらな女だ」

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