「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
魔王の死

 ***

 王の御前……。

 そこには国の中心と言われる重鎮達が集まり、玉座に座る王の両脇を守るように立っていた。そんな重鎮たちのジットリとした視線を無視して、王の元へと進んでいく。

 王の玉座の前だけがぽっかりと開けられているのは、ここまで来いと言うことだ。俺は王の目の前まで行き、膝をついて形式的な騎士の礼を取った。そして、王の言葉を待つ。この国では上の者からの許しが無ければ発言は出来ない。頭を上げることも出来ないため、俺は頭を下げたままその時を待った。

「頭を上げよ。形式的な言葉はいらん。報告せよ。勇者ジュウド・オーグラン今日こそ良い報告が聞けるのだろうな?」

 俺は頭を上げ、王を見上げた。王は憔悴(しょうすい)しきった顔で瞳の色は濁り、頬は削げ落ち、蒼白な顔をしていた。見るからに病気を患っているように見える。そんな王の横に青銀髪の美丈夫が立っていた。この方はこの国の第一王子ネクスト・ファレスタ様だ。ネクスト殿下は王の様子を気遣(きづか)わしげに見ながら平静を装っている。

 そんな王族を前に俺は大きく息を吸い込むと、ここに集まる全ての人々に聞こえるように声を張り上げた。

 その声は人を萎縮させるような大声ではなく、空気に声を響かせるような落ち着いた声だ。

 そのおかげか、人々の俺を見る目が厳しいものから期待に変わる。今日の勇者は何かが違うと気づいたようだ。



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