「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい

「陛下、今日は良い報告がございます。魔王の斑紋を持つ者を見つけました」

 俺の言葉に人々は驚き、ざわめきが広がっていく。

 ゾイド王は玉座から腰を浮かせて、目を見開いた。

「そ、それは誠(まこと)か?」

 そう言った陛下の濁った瞳に色が戻ったような気がした。

 それからここ数日練習していた言葉を、皆の前でゆっくりと落ち着いた声音で述べた。

 全てを話し終わると、人々の顔から表情が抜け落ちていた。ここに集まる貴族が表情を繕(つくろ)うことも出来ずにいた。それは貴族としては失格ともいえる表情なのだが、表情を作ることも出来ないほど驚愕してしまったのだろう。

 それもそうだろう。

 世界の歴史を魔聖教会という組織によって作り替えられていたのだ。何百年と聖女となりえる人間を魔王だと言って葬って来た。その罪は重い。

 しかし陛下は俺の話を聞いても表情を変えなかった。いや、変えられなかったのだろう。

 一瞬だけ輝きを取り戻した瞳は濁りきり、うつろな顔でこちらを見た。

 そして……。

「だからどうしたと言うのだ?」

「は?」

 俺は不敬にも、陛下に聞き返してしまった。しかし、陛下はそれを気にも留めない様子で話を進めた。

「魔王の斑紋を持つ者は見つかり、魔王となりえるのだろう?」

「はい。確かにそうですが、彼女は聖女として成長をしています」

「ふんっ。しかし魔王になるかもしれないではないか。やはり処分だな」

 処分だと?



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