「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
その時、私の胸に鈍痛が走った。今までにこういうことは何度かあった。深い悲しみを覚えると、こういった症状が出る。胸を押さえ、はくはくと呼吸を繰り返す、すると感情が抜け落ちたように心が楽になる。それは感情が消えた瞬間だった。こうやって魔王の本質に近づいていくのだろう。
感情が消え、人間としての心が失われ、心はゆがみ、醜く醜悪な魔王と化すのだろう。
自分が魔王となってしまった未来の姿を想像して、体がブルッと震えた。
馬車に揺られて3日が過ぎた。
王都まではここからさらに10日以上はかかるらしい。傭兵と騎兵の男たちが休憩中にそう話しをしていた。私の馬車の周りには物々しい雰囲気の傭兵と騎兵たちが剣を携えている。一応私の護衛らしいが、私が逃げ出さないよう見張っているというのが本当の話だ。
辺境拍領を出発して4日が過ぎた頃から雨が降り出した。まるで私を憐れむように降り続ける雨。それは三日続き、今も降り続いている。地面はぬかるみ、馬も歩きにくそうにしているのが可哀想でならない。降り続ける雨のせいで何度も休憩が入り、王都に着くのはまだまだかかりそうだった。