「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい

 *

 それから一週間が過ぎ、ジェシカ嬢が乗った馬車が崖から落ちたと報告があった。

 俺はその報告を聞いて胸を撫で下ろしていた。

 これで時間稼ぎができると思ったんだ。

 しかしここからが大変だった。

 どんなにジェシカ嬢を探しても見つからない。捜索範囲を広げても、痕跡が全く無い。ここまで痕跡を残さずに消えてしまうことが出来るのだろうか?もうこの世にはいないのでは?そう思うような消え方だった。それでも捜索は続けられていた。

 その後も良い報告が上がらないため、陛下は激高し、騎士団長であるシドさんが何度も呼び出されていた。

 そうシドさんは騎士団長さんでした。

 威厳があって頼れる人だとは思っていたけど、まさか騎士団長さんだとは思っていなかった。


 それから更に一週間後、俺は漆黒の森にいた。

 本来ならば魔王は、『魔王の儀』という儀式の中で首を切り落とすらしい。しかし今回はこのような事態になってしまったため、魔王が襲って来た時のために勇者が派遣された。剣もろくに握ったこともなかった俺を漆黒の森に放り込んで、実戦で経験を積んでこいとか……無茶すぎる。



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