「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
「ジェシー、大丈夫かい?」
優しくささやくような声に、体が震える。
自分を心配してくれる人なんて今まで誰もいなかった。実の両親でさえ早く私が死ぬことを望んでいて、心配してくれたことなんてない。今も私がいなくなる事を神に祈っているのだろう。それなのに出会ったばかりのこの人は、私をこんなにも心配してくれる。それが嬉しくて涙が出た。
涙が頬を伝って落ちていくのを止められない。涙を流す私を見た騎士団長様が、おろおろとしながら私の涙を拭ってくれた。
「ジェシー、まだ魔力がもどらない?調子が悪い?」
そう聞かれても私は涙を流しているせいなのか、うまく言葉が出せなかった。大丈夫だとそう言葉にしたいのに言うことが出来ず、首を横に振ることしか出来ない。そんな私を騎士団長様がギュッと抱きしめてくれた。騎士団長様の腕の中はとても安心できる気がした。この人は私に危害を加えない。私を守ってくれる。そう思った。そう思ったとたんに眠気がさした。私は騎士団長様に抱きしめられながらゆっくりと眠りに落ちた。