シトラスの魔法が解けるまで
設定画面を見ると、PVはさらに伸びていた。
誰かが私の「寂しい」を、私の「逃げられた夜」を読み返して、一緒に胸を痛めてくれていた。
顔も知らない、名前も知らない。けれど、この広い空の下のどこかにいる味方たち。
​(……みんな、聞いて。私、今日、ちゃんと目を見て話せたよ)
​指が弾むように文字を紡いでいく。
今日彼にぶつけた「嫌いなら言って!」という情けない叫びも。
彼が耳を真っ赤にして言った「ま、まあ」という、世界で一番不器用な許可の言葉も。
全部、この物語の中に閉じ込めておきたい。


『「嫌ってない」
その四文字は、どんなに綺麗なポエムよりも、私の心を震わせた。
一年前の沈黙も、避けられていた時間も、全部が今日という日のためにあったのだと思えるくらいに。』
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