初恋の相手と運命の再会を果たしたら、イケメン社長になっていて溺愛されています
「鈴木はあれからどうだ?上手くやってたか?」

高橋くんがいなかった間、私が仕事でちゃんとやれていたのか気になっているみたいだ。
差し支えのない話だったので、話に乗っかった。

「それなりにね。高橋くんはこっちに戻ってきたってことは結構上手くやってたってことでしょ?」

彼を褒め称える。名古屋転勤から二年で東京支社に戻ってきたのだから。

「まぁ、そうだな。早く戻りたい理由があったからね」

まっすぐに彼の瞳が私の目を見つめた。まるで彼の言葉に深い意味があるかのように…。

「そうだったんだ。名古屋はどうだった?過ごしやすかった?」

話題を無理矢理、変えた。この空気を変えるために。

「地方の中でも都会だからね。過ごしやすかったよ」

「それは良かったね。名古屋と東京じゃどっちの方が暮らしやすい?」

「東京の方が暮らしやすいね。でも俺が東京に戻りたかったのは暮らしやすさじゃないよ」

「え…?」

驚きのあまり、感嘆な声が漏れてしまった。
言葉の続きを聞きたいような、聞かない方がいいような…。胸がざわつき始めた。

「会いたい人がいるから意地でも早く戻ってきたんだよ」

会いたい人…。つまりそれは言い方を変えれば、好きな人がいると言っているようなものだ。

「そうなんだ…。会いたい人がいるんだ」

高橋くんは確か恋人がいなかったはず。となると高橋くんの片想いということになる。

「誰だか分かる?きっと鈴木には分からないと思うけど」

分かるわけがない。高橋くんの好きな人について一度も教えてもらったことがないし、彼と二年もの空白期間があったため、彼の気持ちなど知る由もない。

「ごめん。全然分からないや…」

「今はそれでいいよ。いつか教えてあげるから」

教えづらい相手…ということは、社内の誰かのことが好きなのであろう。
同期のよしみとして、彼が社内に好きな人がいることは黙っておくことにした。

「分かった。いつか教えてもらえるのを楽しみにしてるね」

彼の意図が読めないまま、私はただの同期として高橋くんに普通に接した。
そんな姿を彼は黙って影から見守っているなんて、この時の私は知らなかった。
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