嫌われ爺さんへの怨み節
そんな近所迷惑な声が響き渡り、志津子は心底、恥ずかしかった。

志津子は、正直なところ、学に対して愛情などなかった。

しかし、学と知り合ったのは22の頃で、あの時代は20代前半で結婚して家庭に入るのが一般的だった。

いきおくれだと思われてはたまらないので、調子よく言い寄ってきた学に、半ば騙されるような形で結婚してしまったのである。

若い頃から身勝手だった学は、当時交際していた年上の売れないモデルのことを周りに自慢するだけしたら棄て、結婚するなら年下の処女でなければ、という理由だけで志津子を選んだ。

いくら愛情がなくても、家柄のいい志津子は、プライドがチョモランマの如く高い。

そんな彼女は、愛情の有無など関係なく、自分という正妻が居ながら、他の女に平気で手を出し続けた学を、殺めたいほど憎んでいた。

しかも、もうじき75にもなろうというのに、まさか未だに浮気をしていたとは⋯⋯。
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