幼馴染み勇者様との一途な身代わり初恋♡~勇者の幼馴染という負けポジションの妹の身代わりになったつもりで、つもりだったのに何故か執着溺愛されちゃった私の誤算。~

01 彼の帰還

 勇者の幼馴染の女の子というのは、物語の関係上必要不可欠だけど、とても悲しい存在だ。

 旅立ってしまった彼の郷里への思いを語る時に、ただなんとなく懐かしさを持って回想されるだけの人物であり、彼が魔王を倒した暁にはその功績を認められて結婚を許される聖女兼お姫様から見ると、まったく勝負にもならない当て馬っぽい関係性で役目は呆気なく終わってしまう。

 私は三歳の時、唐突に産声をあげて泣く可愛い妹の赤ん坊だったジーノが、そんな可哀想な立ち位置であることに気がついてしまった。

 早い話が私は前世で大好きだった小説の世界に生まれ変わった転生者だった。妹が生まれた時に、記憶を思い出したのだ。

 けれど、その小説の中では名前すらも一回も出て来ることのない、勇者の幼馴染の姉というモブ中のモブだった。

 まるでこの世界に舞い降りた天使のような妹が、すやすやと幸せそうに眠る顔を見て私は決意した。こんな幼気(いたいけ)な可愛い子を、決して不幸にしてはならない。

 そうか、これから起こることをすべて知っている私が、妹の身代わりになれば良いのか。

 ……そう思った。

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